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執筆者の写真松本浩彦

今年の花粉症<2017年・春>

3月第2週に入って、ぱたりとインフルエンザの患者さんが来なくなりました。年明け第2週、つまり学校の3学期が始まったころから一気に流行した今冬のインフルエンザは全員A型でした。

行政からの情報では、ほぼ99パーセントがA香港型(H3N2)で、A2009pdm(H1N1)はほとんど流行を見なかったようです。 わたしの体感ですが、今年のA香港型の特徴は下痢、嘔吐などの消化器症状をともなうことが比較的多かったこと。高熱が出ない症例がかなり見られたこと。症状に個人差が大きかったこと。 つまり、フラフラで待合室でひっくり返って、そのまま点滴室のベッドに連れて行かねばならない方もいれば、わりと平然とした顔でちょっとほっぺが赤いかなと思って検査したら陽性だったり。おかげでうちのナースは、鼻に棒を入れる検査をしている最中に診察室で昏倒した女子高生をわたしと二人で抱えてベッドに運ぶ途中、ギックリ腰になってしまいました。完全な労災です。申し訳ない。


さて、それで不思議なことに、例年は3月に入るとB型インフルエンザが流行り出すのですが、今年はこれがない。A型が減ってきて今度はB型の患者さんがジワジワと増えて、だいたい今頃になると、AとBが半々になって、4月初めまで、今度はB型ばっかりになるのです。ところがA型がぱたりと来なくなって、B型が来ない。この冬、私はまだB型インフルエンザの患者さんを一人も見ていません。ゼロですよ、ゼロ。開業して20年弱、初めてのことです。

まあこれから増えてくるかも知れませんが、今はもう花粉症の患者さんばっかりです。

これも皆さん気になるところでしょうが、実は昨年の花粉飛散量は例年の3割ていどと、非常に少なかったのです。今年は例年の1.7倍、昨年は少なかったので昨年に比べると、なんと7.3倍の花粉飛散量が見込まれています。


去年は楽だったから治ったかな、と勘違いしてる方もおられると思いますが、油断大敵です。

でもこれはあくまで、気象庁が発表した数字の上での話でして、山沿いに住んでいる人と、海の近くに済んでる人なら、当然違いますよね。うちのクリニックは窓のすぐ目の前に六甲山系が見えます。そりゃあきれいな借景ですが、山の中腹まで民家やマンションが建ち並んでいます。青の当たりに住んでおられる花粉症の人は、さぞかし辛いだろうなぁ。

ベランダからは、大阪湾が、天気の良い日には関西国際空港まで見渡せます。瀬戸内海の穏やかな海沿いに住んでいる人と、山の中腹に住んでいる人では、同じ花粉症でもやっぱりかなり辛さは違うでしょう。去年の7.3倍と言っても、人それぞれ感じ方も症状も異なって当然です。花粉症はきちんとお薬を飲めば、症状を抑えることができます。


マスクは最大の防御ですが、ちゃんと医療機関に行って、それぞれの症状に合った薬を処方してもらって下さい。鼻で吸入するスプレー式の点鼻薬をお使いの方は、まず先にしっかり鼻をかんで、吸入した後は30秒間、頭を後方に下げて、薬が鼻腔の奥まで流れ込むようにしてください。目が痒くて点眼薬をお使いの方、先に水や洗眼薬で目を洗ってから点眼すると効果倍増です。こんなこと、言われてみると当たり前に聴こえるけど、実行してている人は案外少ないので、一度やってみて下さい。

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