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執筆者の写真松本浩彦

ヒアルロン酸について3

じゃあ、この「架橋」について説明しますね。いいですか? ちょっとややこしいけどこれを知っていれば、ちょっとは人に自慢できますので、もう少し頑張って下さい。


医療用のヒアルロン酸は架橋剤を混ぜていません。さぁ、ここでさっきの真珠のネックレスを思いだして下さい。バラバラの真珠の連なった紐が、何本もあるような感じ。想像できますか?これが「架橋」を行っていないヒアルロン酸です。これを皮下に注射しても3日か4日で酵素によって分解され、吸収されてしまいます。

せっかく高いお金を払って注入したのに、数日でなくなったら悲しいですね。ここで架橋が登場です。ヒアルロン酸に架橋剤を加えることで、バラバラだった真珠の紐に横糸がいっぱい張られて繋がるのです。えーっと、そうですね、クモの巣を想像して頂くと判りやすいでしょうか? 

横糸と縦糸で繋がるとしっかりとした膜状になりますよね。この縦糸が真珠の紐で、横糸が架橋剤だと思って下さい。クモの巣は平面ですが、これを立体的、つまり三次元的にすると、ものすごくしっかりとした建築物のような構造になりますよね。そうなんです。架橋剤を加える事で、ヒアルロン酸が酵素によって分解されるのを最低限に抑えることができるのです。 架橋剤が多いほど吸収されにくくなります。酵素による分解が少なくて、保ちがよくなります。それなら架橋剤をたくさん入れると良いいいのか、というとちょっと違うんですね。

架橋が多いほど、頑丈になります。つまりヒアルロン酸自体が硬くなってしまうのです。硬くなると、今度は私の立場でいうと、皮下に注入するのが困難になります。

そして上手く注入することができても、時間と共に、今度はしこりのような、皮膚の下に粒々が残ったように見えてしまいます。ですから、あまり架橋剤が多いと、保ちは良いですが、仕上がりが悪くなります。でも、逆に架橋剤が少ないと、注入しやすく、仕上がりも綺麗ですが、保ちが悪くなります。

このあたり、だいたい美容目的の皮下注入用ヒアルロン酸は三段階に分かれていて、硬、軟、そしてその中間と、三種類をケース・バイ・ケースで使い分けているのです。考えてないようでいろいろと考えてるんですよ、実は、というお話でした。

知ってても、あまり自慢にはなりませんかねぇ……。

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