心臓病のリスク低減。特に緑茶は心臓の動脈を柔軟にする効果があるため、血圧の変化にスムーズに対応できるようになるとか。抗酸化物質のフラボノイドは、内皮細胞を活性化させ、血管のつまりを防いでくれます。
免疫力を強くする調節性T細胞の数を増やしてくれたり、体の脂肪燃焼効果を高める作用。老化を遅らせる。糖尿病のリスクを3分の1に低減できる。コレステロールの吸収を妨げ、悪玉コレステロール(LDL)値を下げてくれる。脳細胞の成長を活性化し、記憶力や学習力を向上させる効果も報告されています。
そして、がんの予防。これまで発表された動物実験や大規模な臨床研究でみますと、少なくとも私の知る限り、食道がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、膀胱がん、前立腺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、十二指腸がん。これらのがんの発生リスクや転移を低減するとの報告があります。私は詳しいんですよ、このあたりは。なぜなら私の大学院時代の研究テーマが「緑茶カテキンによる発がん抑制効果の研究」でしたから。
簡単に言うと、緑茶を飲むことで、がんになるリスクをおよそ三分の一に下げることができる、という研究で私は医学博士になりました。これは今でこそけっこう有名な話ですが、20年前には「ホンマかいな」と笑われることもありました。
最近の研究では、遺伝子を組み替えてがんを自然に発症するマウス(トランスジェニック・マウスといいます)を使った実験でも、緑茶や茶カテキンが、がんの進行を抑えることが報告されています。そして、お茶からポリフェノールだけを抽出したものが、がん予防の健康食品として売られています。日本の法律では、はっきり「がん予防」と宣伝できないのですが、緑茶ポリフェノールのひとつ、エピガロ・カテキン・ガレートのがん予防効果は今や常識です。
ほかにも食中毒の予防、虫歯の予防、高血圧の抑制、老化抑制など、数え上げたらキリがありません。私は今でも一日に1.5リッターは緑茶を飲みます。こうなるともう、ほとんど主食ですね。真似しろとは言いませんが、ミネラルウォーターをお飲みになるなら、緑茶を飲まれた方がよろしいかと…。でもまぁ、緑茶に関して言えば、サプリというより習慣ですね、やっぱり。
さて、これで今回のサプリ特集は終わりです。もうちょっと詳しく知りたい、というお声もあるでしょうが、駆け足で、今の流行りをご紹介しました。本当はこれに「MNM」なんていう若返りのサプリとか、糖尿病のこれはもう治療薬に近いんでないの? なんていうサプリもあるのですが、いまのところ実際に商品化されていて、皆さんが手に入れることができるものに絞ってご紹介しました。
私の持論は、サプリメントは食費を削ったり生活費を切り詰めてまでして買うものではない、というものです。なんといっても所詮は「健康補助食品」ですからね。サプリを飲んでるから少しぐらい不摂生しても大丈夫、なんていうのが一番いけません。
健康はお金で買えるものではありません。早寝早起き、食事はいつも腹八分目、禁酒禁煙…耳が痛いですか? 実は私も、書いてて恥ずかしい。