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執筆者の写真松本浩彦

「熱中症対策にスポーツドリンク」はご用心!

本当に暑いですね。最近、同年代の患者さんとよく交わす言葉に、 「先生、日本ってこんなに暑い国やったっけ?」 「いや〜、少なくともボクが子供の頃はこんなに暑い国やなかったと思うよ」 「そうやんなぁ。昔は天気予報で30度とか言うとったら、ひえぇーって思ってたもんな…」 テレビのニュースでもよく聞かれると思いますが、熱中症の患者がここ数年で急増、右肩上がりに上昇しているという話。 僕たちが小学校で習った時は、日本は「温帯」に属すると教わったはずですが、もうこれはどう考えても、いつの間にやら日本は「亜熱帯」になっちゃったに違いないと、そう思って調べてみると、温帯とか亜熱帯とかは、ドイツの気候学者のケッペンという人が1923年に提唱した気候区分らしいです。こりゃまたえらく古い話ですね。90年も昔ですよ。 さてケッペン先生、世界の気候を大きく、熱帯、乾燥帯、温帯、亜寒帯、寒帯の5つに分けて、その5つのうちにもそれぞれ細かな区分があって…おや? 亜熱帯という言葉はないんですね。 と思ってもう少し調べると、旧ソビエト連邦のアリソフという気候学者が1954年頃に発表した学説、アリソフの気候区分というのがあって、それによると、赤道気団帯、赤道季節風帯、熱帯気団帯、亜熱帯、寒帯気団帯、亜極気団地帯、極気団地帯、の7つがあるそうです。アリソフの気候区分によると、日本は宮城県か山形県辺りを境に、北が寒帯気団帯、南が亜熱帯になるそうですが、いまの日本の地理の授業で教えているのは基本的に、先にご紹介したケッペンの気候区分だそうです。他にもいろんな学説があって、昔から議論されてるらしいですね。 いずれにしろ、いまの日本は少なくとも「温帯」とは言えないというのは、皆さんの同意を頂けると思います。 それで調べて行くうちに、21世紀の終わりには日本の大部分が亜熱帯になるという、恐ろしいコラムまで見つけてしまいました。地球温暖化のせいだそうです。今でもすでに、温暖湿潤を逸脱し亜熱帯になってしまっている地域はたくさんありそうですが、今世紀末には日本の平均気温は今より6.4度も高くなるという試算もあり、熱中症などによる死亡者数も今の2倍以上に増えるのだそうです。 て、それで今回はその熱中症の話題。実はこれ、去年も書いたのですが、私は熱中症対策にスポーツドリンクは飲みません、というお話です。 理由:スポーツドリンクは身体に良くないと、私は考えているからです。 まず単純な話ですが、スポーツドリンクを水筒に入れるのは良くありません。金属製の水筒と酸性の強い飲料は相性がよくありません。水筒といっても、いろんな種類があります。最近いちばん多く見られるのは、ステンレス製の水筒です。 でもステンレスやアルミなど金属製の水筒は、酸と触れると容器の金属成分が飲料の中に溶け出し、金属アレルギーや、ひどい時には中毒症状を引き起こしてしまいます。 もちろん、金属製の水筒は、飲料と金属が直接接触しないように金属表面に加工がされていますので、通常であれば、溶け出す金属は問題にならないくらい微量でしょうが、もし、水筒の内側にキズがついている場合、酸性の強い飲料を入れると、高い濃度で金属成分が溶け出す可能性はあります。 でも、そんなのは、自分で言っといて何ですが「言いがかり」みたいな可愛いもので、私が本当にイヤなのは、使われている合成甘味料なんですよね。 その問題の合成甘味料が「スクラロース」です。砂糖の数百倍の甘味があり、コンビニなどで販売されているミント、ガム、ダイエットコーラとか、ノンカロリーと謳っている清涼飲料水のほとんど全てに、この合成甘味料のスクラロース、もしくは、もっと身体に悪い「アスパルテーム」が入っています。 アスパルテームの解説をはじめると話が長くなりますので割愛しますが、これは本当に半端なく危険なのです。で、アスパルテームの安全性が1990年代終わりごろから世界的な大問題となり、多くの食料品メーカーが違う人工甘味料に切り換えなけらばいけない状況に追い込まれ、

その代わりとして2000年以降、つまり今世紀に入ってから爆発的に売り上げを伸ばしているのがスクラロースなのです。 ところが、このスクラロースも決して安全とは言い切れない。スクラロースの分子には塩素(Cl)がついているのですが、 塩素(Cl)と炭素(C)の分子をくっ付けるとオルガノクロライドという分子になります。 一般的にオルガノクロライドとは、ダイオキシンやDDTなどの農薬、つまり劇薬です。 厚労省が食品添加物として許可したオルガノクロライドは、いまのところスクラロースだけです。 分かりやすく言うと、有機塩素化合物の一種である合成甘味料の「スクラロース」は毒性の強い物質と言わざるを得ないのに、日本の厚生労働省をはじめ世界中の行政機関がその使用を認めている、という事です(受け売り)。

詳しくお知りになりたい方は「アスパルテーム」「スクラロース」のキーワードでネット検索して下さい。いっぱい出てきますから。そのむかし社会的問題となった「チクロ」や「サッカリン」といった、強毒性の合成甘味料と大差ないのです。 まぁとにかく、ちょっと調べてその毒性の強さや、ラットを使った実験のデータをみれば、コンビニで売られているものは、ほとんど食べられなくなります。でもガムとか、飴とか、しょせんは含有量が知れています。でもスポーツドリンクとなるとそうはいきません。ペットボトルで一日2リットル、3リットルと飲む方も居られるわけです。 で、スポーツドリンクの話に戻りますね。まず、先ほどから言ってるスクラロースなどの合成甘味料が大量に含まれているという点と、もう一つ、ブドウ糖や果糖、もしくは異性化糖などの表記が、成分表示に記載されていることです。ブドウ糖や果糖はいいとして、この「異性化糖」というのがまたクセモノなんです。 異性化糖とは、デンプンを酵素または酸で加水分解して得られた、主としてブドウ糖からなる糖液を、さらに酵素またはアルカリにより異性化した、果糖またはブドウ糖を主成分とする糖のこと(これまた受け売り)です。なんか漠然と怖いですよね。 書き過ぎてスポーツドリンクのメーカーから逆恨みを買うのも嫌ですので、このくらいにしますが、少なくとも、わたしはスポーツドリンクは飲みません。熱中症対策だと言って、リットル単位で飲むなんてことは絶対しません。スポーツドリンクを毎日ペットボトルでガブガブ飲んでる、なんて人は、ほぼかならず「下痢」しますからね。 じゃあなにを飲めば良いのか。答えは簡単、「塩水」です。 実はわたくしこれでも、日本体育協会公認スポーツドクターですので、「熱中症の予防」には0.2%濃度の食塩水を飲むのがいちばんだと、ここではっきり申し上げます。 0.2%食塩水の作り方は、1.000mlの水に2グラムの塩を入れてできあがりです。2リットルのペットボトルを使う時は食塩4グラム。ティースプーンすりきり一杯です。環境省の熱中症環境保健マニュアルによると、これに2〜3グラムの砂糖を入れるとさらに良いとありますが、予防のレベルでしたら「食塩だけ」で充分です。 熱中症になってしまったら、手足の痙攣や、意識の混濁とか、そういう時はもうはっきり「急性期治療」になります。その場合には、生理食塩水(0.9%の食塩水)を点滴で急速に補給する必要があります。0.9%の塩分濃度の生理食塩水というと、これはかなり塩辛いです。1リットルの水におよそ10グラムという換算になります。ちなみに海水の塩分濃度がだいたい3%ですので(1リットルの水に食塩30グラム)、これはもっと塩辛いです。1リットルの水に食塩で30グラム、大さじ2杯にあたります。だから海水を飲んだら、かえって喉が渇いてしまうのです。 日本体育協会では、食塩と糖質を含んだ飲料を推奨しています。

1時間以上の運動をする時は「0.2%程度の食塩と、5%程度の糖分を含んだ5~15℃くらいの冷たい水」としており、自分で調製するには、1リットルの水にティースプーン半分の食塩(2g)と角砂糖を1個か2個、溶かすと良いとしています。 でも、予防という観点からすれば大切なのは何と言っても「塩」です。昔の港湾労働者は、朝まず最初に全員に岩塩が配られ、みなその岩塩を舐めながら水分補給して荷役の仕事をしたと聴いたことがあります。舐めるくらいの、ほんの少しの塩で良いという事です。 1リットルの水に食塩1.5〜2グラムで良いのです。よく料理で「小さじ1杯」なんて言いますね、普通のティースプーンにすりきり一杯で5ccですが、これはあくまで液体の量で、重さではありません。塩や砂糖はティースプーンにすり切り一杯で4グラムです。 ちなみにこれがサラダ油なんかですと、容積は5ccですが油は水より軽いですから、ティースプーン一杯で重さは3.5グラムになります。ですので、熱中症を予防するために1リットルの水に食塩1.5〜2グラムということは、ティースプーンに半分弱と考えて下さい。ほんのり塩味、という程度です。


…おぉっ、なんと丁寧な説明!



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