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執筆者の写真松本浩彦

世間でいわれている「良くない食べ合わせ」4

まだまだありますよ。えっ、そんな料理あるの? というものもあれば、それって普通に付け合わせでついてるじゃん、というものもあります。実はこれらも、医学的、栄養学的に考証すると、非常に筋の通った理にかなった「良い食べ合わせ」だと言えます。

■ 柿ときな粉 きな粉はボタモチにまぶしたり、お餅につけたりとふだんは補助的に食べている食材ですが、これはもともと大豆の粉ですので、優れた植物性タンパク質です。鉄分、カルシウム、カリウムなどを多量に含んでいます。また、柿にはビタミンCとカリウムが含まれています。この二つを食べ合わせるとどのような効果が期待できるのかというと、貧血に効くのです。貧血の多くは鉄分不足が原因です。

日本人は欧米人に比べ特に鉄分の摂取量が少ないため、頻度が高い病気ですが、鉄分を効果的に補ってくれるのが「きな粉と柿」の組み合わせです。柿のビタミンCとカリウムがきな粉の鉄分の吸収をより一層高める働きをしてくれるためです。赤パブリカやレモン、オレンジなどでも同様の効果を得ることができます。 ■ ニラとサバ ニラとサバ、組み合わせて料理するとなると難しいですが、この2つは日頃たまったストレスに対して効果的です。ニラはその匂いのせいで、中華料理で使われることが多いですが、その栄養価は素晴らしく、ニンニクやラッキョウなどと一緒に「ノビル」と呼ばれ、漢方の世界では薬として用いられていました。とくにビタミンCはストレスによく効くのですが、ニラには100グラム中25ミリグラムもビタミンCが含まれています。

サバは特に消化によい優れたタンパク食品として知られており、DHAという身体に良い脂肪酸も含みます。この2つを食べ合わせることによってストレスに打ち勝つ力をつけることができます。 ■ ブドウと鶏肉 ブドウと鶏肉の煮込み、ちょっと想像できませんが、じつはイスラエルの代表的な家庭料理です。中東諸国では大変よく効くスタミナ料理として有名です。ブドウはその昔、ヨーロッパでは『ブドウ療法』なるものがあったほど身体に良いとされています。ブドウには消化を助ける酒石酸やクエン酸といった有機酸、豊富なビタミンにミネラルのほか、多くのポリフェノールも含まれています。

鶏肉はグルタミン酸やメオニチンといった必須アミノ酸をたくさん含んだ良質のタンパク食品であるとともに、亜鉛などのミネラルも豊富で、この2つを食べ合わせる事によってブドウのクエン酸がエネルギー代謝を活発にし、鶏肉のタンパク質成分や亜鉛成分が強壮効果を与えてくれるために、理想的なスタミナ食となります。 ■ 鶏の唐揚げとレモン 鶏の唐揚げには、お約束というほどレモンが添えられてますよね。このレモン、酸味で揚げ物をあっさりと食べることができるというだけではなく、非常に理に適った組み合わせなのです。レモンの酸味のクエン酸には唾液や胃液の分泌を良くし、消化吸収を促し体調を整える効果があり、ビタミンCには血中コレステロールを下げる効果や抗酸化作用、抗ガン作用まであります。

肝臓の働きも活発にするので、レモンは二日酔いも和らげてくれます。ですから油の多い唐揚げには持って来いの組み合わせです。唐揚げは脂質や糖質が多く、ビタミンCは血糖上昇を抑える働きもあり、糖尿病予防やダイエットにも効果的なのです。ただの添え物ではないのですよ。 ■ ステーキとローズマリー ローズマリーは肉や魚の臭みを消し、グリル料理をより高級感あるものに仕上げてくれるだけでなく、ローズマリーに含まれるロスマリン酸やカルノソールは強力な抗酸化物質で、肉を焼いて形成される過酸化脂質などの発がん性を抑える働きがあります。

お肉の下ごしらえにローズマリーを使うのはただのオシャレではありません。

■ 豚肉と玉ねぎ 当たり前のような組み合わせですが、味だけではなく栄養学的にも相性が抜群です。玉ねぎやニラに含まれる硫化アリルは豚肉やレバーに含まれているビタミンB1の吸収を促進します。

ビタミンB1はエネルギー代謝に関わる重要な栄養素で、不足すると疲れやすくなったり食欲がなくなったりと、夏バテのような症状が現れます。ビタミンB1を効率よく体に取り入れるために、玉ねぎの硫化アリルが必要なのです。ちなみにニンニクもこの硫化アリルが豊富に含まれており、豚キムチなどが疲労回復のスタミナ食と言われているのはこのためです。 ■ 肉料理とパイナップル 酢豚にパイナップルを入れるか入れないかは賛否が分かれるところですが、肉料理にパイナップルを入れるのはちゃんと意味があります。パイナップルに含まれるブロメリンという酵素はタンパク質を分解します。肉を柔らかくして消化を良くしてくれるのです。

パパイヤに含まれるパパインという酵素も同じですね。パイナップルの主成分は糖質ですが、ビタミンB1、B2、Cの他に食物繊維も豊富です。またカルシウムの吸収を促進するマンガンを多く含んでおり、骨粗しょう症の予防にも効果があるとされています。

酸味成分のクエン酸も豊富で、胃液の分泌を盛んにして消化を助ける働きがあります。酢豚や南国料理にパイナップルがついてくるのにはちゃんと理由があるのです。ただし、わたくし個人的には、酢豚にパイナップルはNGです。 ■ 生ハムとメロン 生ハムメロンと言えば、いまや知らない人はいないイタリアのオードブルですが、日本人なら初めて食べる時はちょっと驚きますよね。もともと生ハムの強い塩味を中和させるために、メロンやイチジクなどを添えて食べていたのが始まりです。もちろんそれだけではありません。

栄養学的な意義もあります。生ハムの強い塩味は、通常のハムに比べて長時間塩漬けにしているところからきています。その塩分を体外に排出する役割を持っているのがメロンに含まれるカリウム。また、メロンにはGABAやパントテン酸といった身体にいい化学物質も含まれており、生活習慣病予防に有効です。長期熟成のおかげでアミノ酸が通常のハムより何十倍もアップしている生ハムは、うまく果物と食べ合わせることで、美容と健康に貢献してくれます。 ■ 牡蠣とレモン 皆さんご存知の通り、牡蠣は非常に栄養価の高い食材ですが、とくに注目したい栄養成分は亜鉛です。 亜鉛は男性ホルモンの合成に必須の成分で、精力増強や強壮作用を高めるには欠かせません。 成人男性の場合で亜鉛の必要量は11mgとされていますが、カキならわずか2個で補えます。 亜鉛は、さらにビタミンCと一緒に摂ることで、吸収されやすくなります。 レモンを絞ったカキは精力増強に最高の組み合わせと言えます。生の魚介類にレモンは当然、と思われていますがちゃんと理由があるのです。また牡蠣の生食は食中毒になりやすいとされていますが、レモンの酸が細菌の繁殖を抑えるため、食中毒の予防にもなります。 ■ 焼き魚とレモン 魚にはカルシウムが豊富に含まれますが、レモンのクエン酸がカルシウムの吸収を促してくれます。レモンの代わりにスダチなども同じです。

焼き魚にレモンやすだちが添えられているのは生臭さをとるためだけではなく、栄養学的にもきちんとした理由があるのです。

■ アサリとレモン これも魚介類にはレモン、という典型です。アサリには鉄分や造血作用のあるビタミンB12が豊富に含まれており、レモンのクエン酸が鉄の吸収を促してくれます。

ちなみにホウレンソウの鉄分も同様で、アサリとホウレンソウのバター焼きにレモンをかける、なんて言うのは貧血気味の方には最適な料理です。 ■ トマトとアボカド トマトに含まれるリコピンが、がんや高血圧のリスクを減らすというのは周知の事実ですが、リコピンは脂質がないと吸収されにくいという難点があります。アボカドなど脂質の多い食品と組み合わせることで、リコピンを効率よく吸収することができます。オリーブオイルやナッツと一緒に食べるのもオーケーです。 ■ ホウレンソウとゴマ ホウレンソウにはシュウ酸が含まれていて、食べ過ぎるとカルシウムとの比率が壊れ、結石ができやすくなります。これを防止するにはカツオブシの他、ゴマやピーナッツが最適で、マンガン・銅などの造血効果のあるミネラルと合わせて、ビタミンやたんぱく質などが重なり合って体内での効果を高めてくれます。ゴマには結石を防ぐリジンという物質が含まれているので、ホウレンソウとゴマは最適な組み合わせなのです。 ■ 豆腐と漬物 漬物は塩分が多いため、食べすぎには注意しなくてはいけませんが、豆腐に含まれるカリウムが塩分を排出してくれます。他にもトマトやスイカ、りんごなどにもカリウムが多く含まれていますが、漬物と一緒に食べるなら、豆腐がいちばん合うのではないでしょうか。 ■ サンドイッチとパセリ サンドイッチにかならず添えられてくるパセリ。色あいだけを考えた添え物だと思って残してはいませんか。ところがパセリはカルシウムや鉄分などを豊富に含む超有料食品なのです。

古代西洋では薬として使われていたパセリ。飾りのように思われていますが、ビタミンAとカロチンはシソより豊富で、ビタミンCはレモンの2.5倍。葉緑素は口臭予防と抗酸化作用で発がンを抑制・解毒作用・整腸作用をもち、カルシウムや鉄分は牛乳の2倍と、多くの栄養、さらに食事の後の口臭予防にもなパセリなのです。付け合せで出てきたときには残さず食べてください。 ■ 焼き肉と大根おろし 焼き肉はとても油っこいので、たくさん食べると血液がドロドロになってしまいがちですが、

大根おろしは血液をサラサラにしてくれます。また、肉の焦げた部分の発がん性物質を、大根おろしのビタミンCが中和してくれる効果もあります。焼肉に焼き魚にと、大根おろしは万能食と言っていいかもしれません。


次回は最終回です。健康的に摂取するための、ちょっとお奨めのメニューをご紹介しましょう。

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