top of page

閲覧中の各特設サイトへ戻るには上記ボタンからどうぞ

執筆者の写真松本浩彦

スポーツの秋「捻挫(ねんざ)と外傷」

気象予報士の方のお話によると、今年は9月も残暑が厳しく、10月に入ると急に冷え込むそうです。何だかこのところ、春と秋が年々短くなっていくような気がして仕方ありません。

これも地球温暖化のせいなのでしょうか。

さて、とは言ってもやはりスポーツの秋です。じつは私は運動ギライで、10年ほど前にアキレス腱を断裂し、ギプス姿で診療していました。だからと言うわけではないのですが、今回は捻挫のお話を少し。

捻挫というのは関節周囲にある靭帯の損傷のことで、ムチ打ち症やギックリ腰も捻挫の一種で。

関節が有る場所の全てに起こりうる病態です。でもやはり、一番多いのは足首の捻挫です。大部分は足の裏を内側に向ける「内反」という動きによって起こり、足首の外側に付いている靭帯を痛めます。

通常は靭帯が伸びただけの状態ですが、靭帯の一部が切れたり完全に断裂した場合には歩くこともできなくなります。治療の基本は「安静」です。とくに受傷直後が大切で、すぐに患部を冷却し4~5日のあいだ固定するのが一番です。

レントゲンで骨折がないというと、患者さんはみな“良かったぁー”と安心します。しかし私達の立場から言うとそうではありません。

通常の骨折は4週間で治りますが、捻挫はもっと時間のかかることが多いのです。骨折があればすぐにギプスを巻きますので、患部の安静がしっかり保たれますが、捻挫の場合は少々痛みがあっても皆さんギプスを嫌がり無理をします。このため余計に治りが悪くなるのです。

捻挫はストレッチ運動や柔軟体操をすることで予防できる確率が断然高くなります。これから気候も良くなり運動する機会が増えるでしょうが、皆さんも準備運動を充分に行って下さい。

さて、打撲にせよ捻挫にせよ、やってしまったら、外傷後72時間は「冷やす」ことです。

そしてしっかりテーピングして傷を「圧迫」しておきます。これで外傷後の内出血が防げるのです。

さらに、ケガをした部位を心臓より高く挙げておくこと。つまり「挙上」。怪我をした部位では出血が起こっていますし、さらに損傷した部位にめがけて、体中から白血球やマクロファージなどが集まってきます。それとともに水分も集まってきますので、外傷後はその部位が腫れるわけです。

患部の出血、腫れ、痛みを防ぐ四つの方法が先に述べた、患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)なのです。

スポーツ医学の世界ではこれら四つの頭文字をとって「RICE」と呼んでおり、これは基本中の基本です。皆さんもよく覚えておいて下さい。 よく、ケガした時は冷やせばいいのか暖めれば良いのか、と質問されるのですが「受傷後72時間はまず冷やし、その後は暖める」ということも、覚えておいて損はないと思います。

最新記事

すべて表示
bottom of page